問い、きざみ、考えた
榎本栄子遺作彫刻展
- 開催期間:2026年7月28日(火)~9月6日(日)
- 開館時間:9:00~21:00
- 定休日:月曜日、8/12~14
- 料金:観覧無料
- 主催:砂丘館
11年前の夏、砂丘館で榎本栄子彫刻展を開催した。魂にしみいるような展覧会だった。
木の、紙のきざみの一刻一刻のふるえが、ふるえに重なり、複雑で深い複合和音のような波動が空間に広がっていた。それを全身で感じとろうとして、幾度も会場に身を置いた。
榎本はこの展示を気に入り、手紙のやりとりで、また展示をしたいと気持ちを伝えてきた。けれどその後お会いすることなく、一年前、思いがけない逝去の知らせを受け取った。100歳を超えた母が世を去ってほどなくの死だったという。
山梨県北杜市の古い民家の内部をそのまま仕事場にしていた。今春、久しぶりに訪れ、懐かしい作品、未知の作品を見た。紙を素材にした作品には変形を生じたものもあり、いくつかは作家自身の指示なしで組み立てることが難しそうでもあった。
前回の展示では、当時話題になっていた従軍慰安婦像にふれた幾分長い文を作家は送ってきた。案内状にそのまま掲載した。その言葉から「人体」を学び、造形することについて、命をかけて考え、試み、生きてきた「彫刻家」の人生の時の厚みを感じた。あの波動は、その厚みの底から響いていた。
仕事場に残された書類のなかに「芸術私論–人間を人体の視点で」と題されたものがあった。幾度も書き直されたらしいその原稿に「ものが物をこえて生命となり知覚を獲得し人格を確立するドラマの全文である」人体についての、根源的な問いと長年の思考が要約されていた。つくることはその「全文」の意を問い、素材と向き合い、「私」の答えを「集中的に」一つひとつ刻んでいくことであった。「人体は感動体です」という一文が心に刺さる。
あらたにめぐってきた真夏の砂丘館に、この不在の彫刻家の、問いと、応えと、感動が刻み込まれたものたちを置き、ひらいてみたい。
大倉宏(砂丘館館長)

「アントニオ・ガデス―スペインのボンド(奥深いもの)を演ずる―」2013年 桧 35.0×24.0×40.0cm

「空間対位法 20世紀・悲・羽音」1995~2013年 チーク、画紙で色付け彩色 100.0×100.0×100.0cm
「
「寒撥―竹山に思う」2007年~ 松 30.0×24.0×55.0cm

「潮路を聞く」2001年 松 30.0✕24.0×40.0cm
榎本栄子の彫刻作品は9/20(日)~11/8(日)フィリア美術館(山梨県北杜市小淵沢町上笹尾3476-76)でも展示されます。
作家プロフィール
榎本栄子(えのもと えいこ)
1942年東京生まれ。66年東京芸術大学彫刻科、同大学院修了。66-67年同大学同科副手。67-72年青山学院女子短大児童科 助手兼臨時講師。74-88年北新宿に教室を開設。88年より山梨県の八ヶ岳山麓で制作。 1965-67年二科展50周年記念賞、二科特選、文化庁巡回展。71年現代国際彫刻展(箱根)コンクール賞。78-88年日本・アジア・アフリカ・ラテンアメリカ美術家会議主催展参加。92-99年山梨在住作家展参加。 95年戦争展(東京)、戦争と芸術展(大阪)参加。97年個展(ギャラリートラックス/山梨)。99年西会津町公園作品制作。2001-02、13年個展(フィリア美術館/山梨)。04-06年個展(ギャラリーブロッケン/東京・小金井)。15年個展(砂丘館)。2024年4月逝去。
*印刷物(チラシ)のプロフィールでは没年が2025年となっていますが、正しくは2024年です。
平原慎太郎ダンスパフォーマンス「いしのし」 榎本栄子遺作彫刻展会場にて
7/31[金]19:00- 8/1[土]14:00- / 19:00-
定員各回20名 参加料3,000円 大高生1,500円 中小生1,000円 未就学児参加不可
ギャラリートーク「榎本栄子さんとのこと」
8/26[水]18:30-20:00
中山しほ(フィリア美術館)+大倉宏 定員30名 参加料500円
- お申込み(TEL/FAX): 025-222-2676 *いただいた個人情報はこの催しに関する連絡以外に使用いたしません。
- お申込み(E-mail): yoyaku@bz04.plala.or.jp
- ※emailまたはfaxでお申込みの場合は、連絡先(電話番号)、人数を明記してください。
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