絵、書、印、さまざまな立体 真剣に遊び 夢み つくり 生きた ひと
松本全廣展
日時:2026年6月2日(火)~7月5日(日)
松本全廣
松本全廣のことを知ったのは九年前の四月。所用で訪ねた長野県東御市の美術館で大学時代の知人の松本冬美さんにばったり会った。三十数年ぶりの再会だった。冬美さんは全廣氏と横浜で出会って一緒になり、ふたりはその後、縁あって美術館の近くに住むようになった。私たちの再会の九年前に全廣さんは帰宅した車の中で急逝した。五六歳、大動脈乖離だったそうだ。その緑の車が再会の日にはまだ同じ場所にあったが、その日業者に引き取ってもらうことになっているということだった。倉庫のような広い家に残された、初めて知る人の手になる「作品」というのか、作られたものの数々に圧倒されながら、なんとも晴れ晴れとした気持ちになった。 高校卒業後、二十年ほどさまざまな仕事をしながら、旅をし、絵を描いた。東御市に転居したころから「遊印」の注文を多く受けるようになり、ファンが増えて遊印展も各地で開いた。いわゆる書道かいわいの人の作る印とは違う、自由さが、人の心をとらえたのだろう。とはいえ本棚には書や中国文化関連の書籍が膨大にあり、彼が熱心に「学ぶ」人だったことを教えてくれる。しかし人に教わらなかったということが重要で、師はいつも自分自身だった。知のふかさと自由さの同時存在がそうして生まれたのだ。亡くなる前はまた絵を描きたいと言っていたという。のびやかな歌をにじませる彼の風景画が好きだ。クレー風の半抽象や、ややハードな抽象画も試みているけれど彼が好んで作った彩色された人の像(立体)にもつながる、素朴と奇、微妙な異と孤独な歌を感じさせる、人と風景と夢が交錯するような絵が生まれようとしていたのかも知れない。未完の人生だったとも言えるけれど、遺されたものたちの魅力とあわせて、こんなに自由な人生が、私たちの時代にあったこと、可能だったということに心底おどろき、快哉を叫びたくなる。そんな彼が大好きで、今も変わらず好きでいるという冬美さんと知り合えていた幸運をしみじみと感じる。 大倉宏(砂丘館館長) ◆ギャラリートーク 「松本全廣のこと」松本冬美聞き手:大倉宏 6/6〔土〕 14:00-15:30 定員30名 参加料500円 ◆ワークショップ 松本冬美さんとエンコースティックで板絵を描く 6/ 7〔日〕 10:00-12:00 定員12名 参加料1,500円 板パネルに下地を作り彩色しエンコースティック(ロウ)を塗り削ったり墨を塗ってふき取るなどして絵を作ります。 申込み:砂丘館 Tel.Fax. 025-222-2676 E-mailyoyaku@bz04.plala.or.jp * Fax E-mailの場合は連絡先(電話番号)、人数もお書きください。 *いただいた個人情報はこの催しに関する連絡以外には使用しません。 同時期開催 松本冬美展 6/ 2〔火〕- 6/14〔日〕11-18時(6/14は17時まで) 新潟絵屋 新潟市中央区上大川前通十一八六四




