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 短い梅雨が明け、本格的に夏到来です。皆さまおでかけの予定はたてられましたか? 海水浴に夏祭り、花火大会と夏のレジャーも盛り沢山ですが、涼しい美術館やギャラリーで過ごす静かなひと時もいいものです。砂丘館では8月後半より浅野弥衛展がはじまります。生涯を三重県鈴鹿市の生家で過ごしながら描いた、モダンでありながら、どこか質朴で風格のある抽象画を、名古屋画廊のご協力で展示いたします。どうぞお楽しみに。また、9月からは解説ボランティア講座が開講となります。当館館長のほか三人の講師をお招きし、多方面から砂丘館について学んでいただく講座(無料)です。なんと、前新潟県知事であり日銀支店長時代にはこのお屋敷に住まわれていた平山征夫さんのお話もあります。解説ボランティア希望者のほか、解説を希望されない方の受講も可能となりましたので、ご興味のある方はぜひご参加下さい!
第7号 2008年7月30日


 子供の頃、夏になるとこのお屋敷の前を海に行くために、よく通り過ぎていた。その時は素通りしていた場所だった。今、またこのお屋敷に再会できたことがとても嬉しい。
 僕は散歩している途中でお屋敷に入った。とても入りやすかった。僕は庭の緑のかおりが大好きだ。お屋敷の中に入ると、和室の空気が外の緑と調和している。そして、奥には包み込むような、どっしり感を持つ蔵がある。
 お屋敷に行く時に気をつけていることがある。僕はできるだけ体調をよくして出かけるようにしている。それは数々の作品とお屋敷を少しでも感じ取りたいからだ。そう、僕はとてもよくばりな人間だ。
 このお屋敷は、僕のイヤシロノチだ。これからも、さらにイヤシロ度をアップするだろう。

注*「イヤシロノチ」とは「癒しの地(場所)」というような意味の俗語。「イヤシロ」とは「癒し」の語源になったと言われる、ヤマト民族に伝わる言葉だそうです。
 砂丘館のギャラリーではだいだい一月おきに、自主企画の展覧会を開催しています。美術館の白い壁とは異なる日本家屋の床の間や蔵に飾られた作品はどこか落着いていて、表舞台でライトを浴びる出演者というよりは、この家に来るお客様をお迎えするあるじ主という感じがします。
 けれど、旧日銀支店長宅という建物の性格上か、ご来館される方が皆、美術に関心があるというわけではありません。絵が飾ってあっても素通りしていく人もいれば、「芸術はむずかしい」「よくわからない」という言葉もときどき耳にします。そんな人にも少しだけ、作品と向かい合う時間を持っていただけたらと思います。先入観を捨てて静かな気持ちでじっと向き合うと、いい作品は何かを語りかけてくれます。それが言葉にならないものでも、映画や音楽に感動するように、料理を食べておいしいと感じるように、海や山を見て気持ちが穏やかになるように、1枚の絵を見て心が豊かになるということもあると思います。ドイツ語には「芸術は見る人の目の中にある」という諺があるそうです。たくさんのことをしなくても、ひとつの作品を見たことでいい時間が過ごせたと思える一日が、この場所でも生まれるとよいなあと思います。(受付・小田)


砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅)
〒951-8104 新潟市中央区西大畑町5218-1
TEL & FAX 025-222-2676