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2007年5月25日〜6月24日 ■主催:砂丘館(新潟絵屋・新潟ビルサービス特定共同企業体)


佐藤裕一郎 展
 

佐藤裕一郎(さとう ゆういちろう)
1979年山形県生まれ。03年東北芸術工科大学日本画コース卒業。卒業制作優秀賞受賞。05年同大学院修了、同大学大学院修了制作選抜展(東和ギャラリー)に出品。01〜05年創画展に出品。02年第13回臥龍桜日本画大賞展で優秀賞。05年第3回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞―明日の日本画を求めて―で優秀賞受賞。04年なびす画廊、05年ガレリア・グラフィカbisで個展。05年「I'm here」(せんだいメディアテーク)、06年「BLOX 2006」(同)等に出品。
ギャラリートーク
「土の夢」
●2007年6月3日
●トーク:佐藤裕一郎
     大倉宏(砂丘館館長)

同時期開催
佐藤裕一郎展
●2007年5月25日〜6月10日
●画廊Full Moon


 
自然の力を内包 空間に凄み

長沢明(美術作家)

 
 どす黒く佇む巨大な壁? 物体?
 最初に佐藤裕一郎の作品と向かい合う時に、誰もがそう思うだろう。彼の作り出すものは絵画であるのか否か、どんな意味を持つのか、などという小賢しい考えはどうでもよくなり、ただ作品自体が強い存在感を持って観る者に迫ってくる。
 そんな作品を作る佐藤の個展が、新潟市の2会場で開催される。
 1979年・山形県生まれの佐藤は、東北芸術工科大学で日本画を学んだ。当時、彼の教室を訪れると、瓦礫の中にうずくまるように、あるいは立て掛けた合板に噛み付いていくかのように背中を丸めて制作していた。
 学部生のころから創画展の常連になり、2002年には臥龍桜日本画大賞展で優秀賞受賞、2005年トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞で優秀賞受賞など、若くして頭角を現した。
 私の知る彼の作品は、まるで長い間、地中に埋もれていた瓦礫のような様相を呈していた。バーナーで焼かれた合板や麻布をベースに、砂、土、灰、鉄、岩絵具といった自然の一部ともいえる素材を駆使して、塗りと洗い流しの行程を繰り返す中で、何度も傷めつけられながら作品は生まれていくのではないだろうか。
 うねりを持ち瓦礫と化したレリーフ状の壁や、重くさび付いたカーテンで覆いつくされた空間には凄みがあり、その空気には、かつて存在した自然との関わり方や自然の力そのものが内包され、私に超絶にも似た刹那を肌で感じさせてくれた。
 美術作品というものは、立ち会った瞬間に体が反応し、心奪われるものではなくてはならない。そこに何があるのかを読み解くのではなく、じんわりと体内に入り込んでくる。佐藤の作品にはそれがあるのではないか。そんな彼の作品をぜひ、体感して欲しい。

2007年5月24日 新潟日報 掲載



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