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2010年4月23日〜5月23日  ■主催:砂丘館(新潟絵屋・新潟ビルサービス特定共同企業体)


写実という夢 橋本直行展
 

橋本直行(はしもと なおゆき)
1962年生まれ。1988年創形美術学校卒業。個展を中心に作品を発表。無所属。長岡市(旧寺泊町)在住

橋本直行
Hashimoto Naoyuki Gallery

ギャラリートーク
●2010年4月25日
●ギャラリートーク
 「写実をめぐって」
●橋本直行/聞き手:大倉宏

 

同時期開催
橋本直行展
● 2010年4月23日〜5月2日
●画廊 Full Moon

 

 

 

橋本直行 北の目が見た自然
文:大倉宏
『てんぴょう』005号(2000年10月)


 
確かな手技で自然を克明に

沢田佳三(県教育庁文化行政課主任学芸員)

 
 魔力というべきか。洋の東西は問わず、時代を超えて、それはあまたの創作者たちの心を虜にしてきた。流行り廃りはあれども決して失せることなく、どこかの誰かに取り付いては脈々と生き続けてきた。それが「写実」である。そんな魔力に取り付かれた一人が橋本さんだろう。
 自身の住む寺泊(長岡市)の海辺をはじめ、田園や森林など新潟の身近な風景を題材に、時に全く異質な光と気候を持つ沖縄を描いてきたこの画家は、その自然を大小異なる四角い画面に確かな手技で克明入念に描き出してきた。そこで変わらず選択してきた手法が写実だった。なぜか? 本人に問わねば分からぬが、おそらくは写実という実体なき存在の魅力なのだろう。
 写実とは、じつにとらえ難いものである。「事物の実際のままを絵や文章にうつすこと」といった辞書的な意味ほどには単純でない。網膜に映じる像をなるべく正確に再現しようとするだけならば、物の上っ面だけをすくい取るようなものである。なぜこれほどに写実を基にした創作物が歴史に残り、人々の記憶の中に受け継がれてきたのか。写実とは、創作者たちの独自の解釈による表現であり、見る者はそこに強く魅せられてきたのではあるまいか。
 さて、今回は画廊フル・ムーン(新潟市)でも橋本さんの絵世界が同時期に展開されるが、この寡黙ともいうべき写実派はどこまで見る者を引き付けられるのか。「写実という夢」という意味深長なタイトルとともに確かめねばならない。

2010年4月22日 新潟日報 掲載





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