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2012年6月5日〜7月8日  ■主催:砂丘館(新潟絵屋・新潟ビルサービス特定共同企業体)

蓮池もも展 もうひとつの旅
 


蓮池もも(はすいけ もも)
1983年 新潟市生まれ。
2006年 fullmoon upstairs
2007年 画廊Full Moon
2008年 画廊Full Moon
2009年 画廊Full Moon
2010年 画廊Full Moon
2010年 新潟絵屋
2011年 画廊Full Moon
2012年 「新潟の画廊から」
     (ギャラリーKANI)
2012年 新潟絵屋

■砂丘館のイベントチラシ
      イラストレーション


ギャラリートーク
●2012年6月16日
●ギャラリートーク
 蓮池もも/聞き手:大倉宏


関連イベント
●2012年6月23日・24日
●中野綾子・加藤千明
     ダンスパフォーマンス

同時期開催
蓮池もも展
 2012年6月12日〜20日
 新潟絵屋 






 ペンの線、繊細に大胆に

大倉宏(美術評論家)

 
 6年前、蓮池ももという若い人の絵を見せてもらった。新潟に生まれ、新潟で、誰に教わることもなく、1人で描いてきたという。
 小さい紙に雪原を上っていく、遊牧民の家に体を寄せる少女の姿などが描かれる水彩画だった。挿絵風であったが、夢見がちな少女の絵らしい気配と、そこからはみ出すものの手触りが、弱いけれど繊細な線に見えた。絵に寄せる静かな決意のようなものが感じられた。薄明の空に浮かぶ小さい星を見た気がした。青と赤が印象に残った。
 それからほぼ毎年、新潟の画廊Full Moonで発表を続けた。1人だった絵の少女は、時に道連れを得、共に踊り、谷を下り、獣めいたものたちに会い、崖を登った。ペンの線は感じやすい細さを失わないまま、深まり、血をめぐらせて、髪は綱のように強く結われた。「絵という実人生」を生きていく心の変容が、こうして絵にじかに刻まれるのを、驚きとともに見てきた。
 昨年の個展では画面に人が消え、厚紙をするどく爪で掻いたような「ほろびののち」というシリーズに続き、根を引き抜いて歩く木が現れた。イメージの深さ、荒々しさ。それを表現しようとして、違う描き方を求める大胆と勇気。
 この春、東京で新潟の3人の作家を紹介する企画展が開かれたが、そこでも彼女の絵の独自性と才能に注目する声が多かった。小さな星は今年29歳。今では星とは言えない大きさの、1人のアーティストになり、空をめぐりだした。最近の絵に現れた、鉛筆による思いがけない母子像の連作に、さらに新しい胎動を感じる。
 6月の新潟は二つの会場で、砂丘館ではこれまでの、そして新潟絵屋では今の、注目のこの画家を紹介している。

2012年6月16日 新潟日報 掲載 




砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅)
〒951-8104 新潟市中央区西大畑町5218-1
TEL & FAX 025-222-2676