闇の明るさ 渡邊博展の画像

闇の明るさ 渡邊博展

  • 開催期間:【終了しました】2018年2月23日(金)~2018年4月1日(日)
  • 開館時間:9時~21時 会場:砂丘館ギャラリー(蔵)+一階全室<*一階和室会場は、市民利用等でご覧いただけない場合があります>
  • 定休日:月曜休館,3/22(木)(3/21水・祝は開館)
  • 料金:観覧無料
  • 主催:砂丘館

絶望のやさしさと闇の明るさについて

砂丘館と新潟絵屋での回顧的展示のためにお借りしてきた絵を、冬の和室で広げた。久しぶりの大雪で砂丘館の庭は白い。

初期の作品「息子を抱く自画像」に、とても打たれる。そして、冬の夕暮れの窓のような青い風景。鏡や人形や経文などが浮遊する80~90年代の作風を経て、渡邊の絵は抽象に変化していくが、次々と絵を広げながら、あのとき感じた「闇」の感覚を、 変わらず自分が受け取ってきたことに気付く。
「息子を抱く自画像」は雄々しい。でも裸身のふたりは痩せていて、子は父にしが みつき、「何か」に立ち向かう顔で振り向く父の手は、保護するようにその子を抑えているが、目には無力を自覚するような諦念の影がただよう。襲いかかっているのが猛烈な寒気であり、嵐であり、猛獣であるなら、とても助かりそうにない。そのような絶望的ありようの暗さが、けれどこの絵に、どこか無限にやさしさを与えている。渡邊博の絵はそんなふうに人間の心をあたため、明るませてくる。変わらない。

大倉 宏(砂丘館館長)

◆上記は、「渡邊博展」チラシに掲載した文章からの抜粋です。

▶チラシはこちらからご覧いただけます。

作家プロフィール

渡邊 博(わたなべ ひろし) 1938年新潟市生まれ。熊谷喜代治にデッサンを学び、後笹岡了一に師事。日展、光風会に出品し、66年光風会準会員となるが、68年退会。以後は紀伊国屋画廊、美術ジャーナル画廊、現代画廊、ギャラリーXepia、ギャラリー汲美、(株)東京現像所、K’sギャラリー、セッションハウス(いずれも東京)、ギャラリーDEN(ドイツ・ベルリン)などで個展により発表。新潟での個展は91年新潟伊勢丹、2002・05・08・12・16年新潟絵屋。千葉県南房総市在住。

渡邊博「息子を抱く自画像」 1975年 木炭

<会期中の催し>

■ギャラリーツアー

2018年3月4日(日) 午後3時~4時

案内人:大倉宏(砂丘館館長)

参加無料(予約不要・直接会場へ)


<同時開催> 渡邊 博展

■新潟絵屋 2018年3月2日(土)~11日(日)

新潟市中央区上大川前通10番町1864

TEL&FAX 025-222-6888 Email info@niigata-eya.jp

午前11時~午後6時(最終日~午後5時)

詳細はこちらから(新潟絵屋ホームページ)