栗田宏・梅田恭子展
日時:2022年12月21日(木)〜2023年2月5日(日)【終了しました】
砂丘館では何人もの作家から作品をお預かりしてきた。 それらを企画展の合間に砂丘館の常設展示ともいうべき「砂丘館セレクション」の一部として、また時には「特別展示」としてある程度まとまめて展示してきた。 それなりの数の作品を預かっている作家もある。 栗田宏と梅田恭子である。 栗田宏は今年の8月23日に70歳で急逝した。この2人展は彼の存命中に構想し、二人にも伝えていたもので、やはり預かった作品から選んで展示する予定だった。 梅田恭子の場合は、ちょうど一年前に、これもまとまった点数でお預かりしている版画集「ツブノヒトツヒトツ」を展示したが、それと同じ時期にギャラリーみつけで開かれた展示に並んだ彼女の初期の版画を、その後砂丘館で数点預かることになった。 二人の作品は外見上の共通点もあり、砂丘館では作者名を書かずに最近は展示することが多いが、梅田の絵を栗田さんですか? と絵に興味のある人から聞かれることもあった。 とはいえ、二人のどちらかがどちらかに影響をうけたということは、まったくない。 そんな二人の絵を同時期に並べてみたいと思ったのは、去年の梅田の展示の直後だった。ギャラリーみつけの展示で、自分という穴をひたすら垂直に掘っていこうとするようなその表現に、初期(1980年代)の栗田の絵の息詰まるような線の集積を思い出したからだ。 11月になって梅田から、雁皮紙に刷られた版画がくしゃくしゃに丸められたものが送られてきた。紙は破れていた。畳の上でそれを指で広げていると、深くなにかを感じてしまうために、その分だけ生きにくい人生を引き受けざるを得なかった、そして、描くことを通じて引き受けてきた二人の、皮膚にさわっている気がした。 (大倉宏 砂丘館館長)