映像展示2020/2021    ジャン-フランソワ・ゲリー「流木」 (遺作)/ mikkyoz015の画像

映像展示2020/2021 ジャン-フランソワ・ゲリー「流木」 (遺作)/ mikkyoz015

  • 開催期間:【終了しました】ジャン-フランソワ・ゲリー「流木」2020年12月8日(火)~27日(日)miikyoz0152021年1月5日(火)~24日(日)
  • 開館時間:9:00-21:00
  • 定休日:月曜日(1/11は開館)12/28-1/3、1/12
  • 料金:観覧無料
  • 主催:砂丘館

恒例となったmikkyozの映像+音の展示に加え、この冬の砂丘館では、新潟市在住の写真家ジャン-フランソワ・ゲリーが2020年の1月~5月に新潟県の海岸で撮影した「流木」シリーズを映像(スライドショー)形式で展示する。

私の印象に強く残るジャン-フランソワ・ゲリーの写真展は2000年7月に新潟絵屋で開催した「L‘Appel du Large 遠い海の呼び声」と題された新潟西港に着眼する船を撮った作品を並べたものだったから、あれから20年がたつ。

ときどき新潟の町でゲリーさんを見かけたり、向こうが気が付いてくれたりして、立ち話をしたが、写真はもう撮らないことにした、動画に夢中になっている、文章を書くことに熱中していると聞いていたので、もう新作の写真は見られないのかと残念に思った。

その間、世界は彼が親しんだフィルムから、デジタル写真の時代に急激に変わってしまった。ゲリーさんはそんな時代にも違和感を覚えているようだった。

今年になって「流木」の写真を撮ったので見てほしいと言われた。

バイクで冬の柏崎や巻などの海岸にでかけたとき、流れ着いた無数の流木にカメラを近づけ、ファインダーをのぞくと驚愕すべき光景があらわれた。それから4か月あまり、何十回も冬と春の海に通って撮影を続けた。時間が消えたように。そうして収獲した数百枚のカットから、ゲリーさんが選んだ100点の画像を見たとき、私もその興奮を共有した。あの船の写真のように、ジャン-フランソワ・ゲリーでなければ撮れない写真が、新しい産声を上げていた。流木たちの枝に、肌に、股に、旅に生きた一人の人生が、内面が、感情や情動が見事に、直截に、浮かび上がっている。「これらの木々は、なんと生き生きと死んでいるのだろう!」と、画像を見ながら、思わず叫んでいた。

mikkyozの構成メンバーの一人、遠藤龍は、新潟デザイン専門学校でジャン-フランソワ・ゲリーの授業を受けた。教え子である。彼の近年の動画と、leの音は、実験映像の域を超えて一つの寡黙な生命体のような独自性を持ち始めてきた。

流木の写真を映像形式で展示するにあたって構成を遠藤に依頼し、あわせて「音」をこの夏に砂丘館で印象的なライブを行った福島諭に依頼した。

映像のなかのコメントでゲリーが語っているように写真も、動画も「白紙から新しい形を生み出すことができず」、「できるのは、すでに存在している形を借りて、自分の独持の視線を示すことだけだ」。

新潟という、私たちが身を置く「すでに存在している」土地から、目を驚かす新しい光景をつかみ出すひとりの写真家と、ひとつのユニットの新作を、続けて紹介できるのは僥倖だ。

(大倉 宏)

*ジャン-フランソワ・ゲリーさんは12月12日に急逝されました。77歳でした。

ギャラリートーク

2020年12月26日(土)

15:00-16:30

ジャン-フランソワ・ゲリー「流木」を語る。

遠藤龍、福島諭、大倉宏(砂丘館館長)

定員15名 500円 要申込

砂丘館へ

tel.fax.022-222-2676

Eメールsakyukan@bz03.plala.or.jp

定員は12/17現在満席で、キャンセル待ちで受け付けています。

当日はyoutubeによる動画配信をおこなう予定です。urlが決まりましたら、ホームページ、ツイッター等でお知らせする予定です。

 

作家プロフィール

ジャン-フランソワ・ゲリー Jean-François Guerry

1943年スイスに生まれ、パリで育つ。スイス大使館の文化担当官として東京、ニューヨークで勤務した後、90年辞職しフリーの写真家となる。91年から新潟市に在住。ギャルリーワタリ(東京・90年)羊画廊(新潟・98年)Arterage Modem Art Gallery(ウラジオストク・ロシア・99年)新潟絵屋(新潟・2000年)たけうち画廊(新潟・2004年)で個展。『週刊新潮』、新潟日報などに写真と文を発表。著書に『旅の虫』(2000年 新潟日報事業社)『パリでまた逢おう CI VEDIAMO』(2004年 同)。

 

mikkyoz

le+遠藤龍 2009年より映像、音響を用いた展示とライブパフォーマンスを中心に活動

 

福島諭 Satoshi Fukushima

1977年新潟生まれ。作曲家。IAMAS 修了。2002年よりリアルタイムなコンピューター処理と演奏者とのライブエレクトロニクス作品を発表。また、Mimiz、gpのメンバー。濱地潤一との交換型共同作曲作品群《変容の対象》は2009年元旦より開始され現在も毎月1曲を作曲継続中。G.F.G.S.レーベルよりCD「福島諭:室内楽2011-2015」,「SEWN UP 2016-2018」をリリース。日本電子音楽協会理事(2017年度-)。作曲を三輪眞弘氏に師事。主な賞歴に2014 第十八回文化庁メディア芸術祭 アート部門 優秀賞など。